「Short Film Biotope」は、短編映画が本来持っている”新しい才能が育まれる可能性”を拡げると同時に、そこに横たわる課題を解消する為の新しいプログラムです。クラウドファンディング・プラットフォーム「MOTION GALLERY」での資金調達と、下北沢の映画館「K2」での劇場公開とをつなぎ一気通貫でサポートすることで、短編映画制作に新しい生態系を生み出し、インスピレーションに溢れた作品を世界にもたらし続けられる土壌をつくることで、これから世界に羽ばたこうとされている映画制作者をサポートしていきます。
2011年にMOTION GALLERYが日本に産声を上げてからこれまでに、MOTION GALLERYで集められた資金をもとに何百もの短編映画が制作されてきました。 その中には、公開後に劇場で満席続出となり今でも自主上映会が各地で行われているLGBTを題材とした映画『カランコエの花』(第26回レインボー・リール東京 グランプリ)、アートアニメーション作品である大川原亮監督『ディス イズ マイ ハウス』(オタワ国際アニメーション映画祭2016ノミネート)、佐久間啓輔監督『Funny』(リッチモンド国際映画祭2020 短編映画部門 観客賞/最優秀俳優賞)など、国内外の重要な映画祭で受賞した作品もいくつもあります。これら MOTION GALLERY のクラウドファンディングを通じて作られた短編映画作品はどれも、独自の新規性とチャレンジ、そして映画的な奥深さをもって数々の人々の心を動かしてきました。
一方で、日本の映画界の現状を考えると、短編映画作品はまだまだその重要性が認知されていないと言えるのではないでしょうか?
その差は、フランスの映画製作の現状と比較すると対照的です。日本ではなかなか短編映画は製作者のキャリアにつながりづらい現状がありますが、フランスでは短編映画はかなり重要な位置づけとなっています。短編映画にも出口があり、そして評価の重要な対象になる為、無理して低予算で長編映画をつくるようなことはなく、適正な予算で短編映画が生み出されている。それはおそらくフランス映画界がサステナブルな環境でありつづけていることの1つの理由になっているのではと感じます。そう考えると、短編映画に出口をつくりキャリアになるような動きを生み出すことは、今おそらく日本映画において正の循環につながるアクションなのではと感じています。
中川駿監督『カランコエの花』
これら課題を解決するべく立ち上げたのが「Short Film Biotope」です。クラウドファンディング・プラットフォーム「MOTION GALLERY」での資金調達と、映画館「K2」での劇場公開をつなぐことで新しい生態系を生み出し、今後もさらにインスピレーションに溢れた作品を世界にもたらし続けることができるよう、これから世界に羽ばたこうとされている映画の制作者たちをサポートする取り組みです。
クラウドファンディング「MOTION GALLERY」と一体となって支えられる「K2」だからこそ、クラウドファンディングで制作費を集め、映画祭に出品し、そして映画館で興行をするというサイクルをスムーズに実現し、短編映画製作者の未来を応援する取り組みを積極的に行っていくことができます。